A1050 (純アルミ)の概要と成分について
A1050 は、アルミニウム純度99.50%以上の純アルミです。他にもA1070やA1085という材料がありますが、この末尾2桁の数字が純度を表す数字になっています。例えば、A1050 であれば99.50%、A1070は、99.70%という形になります。
A1050 は、純アルミのため強度は劣りますが、曲げ加工性や絞り加工性、表面処理性、導電性、熱伝導性に優れた材料です。その加工性、表面処理性、また、比重が2.75と軽いため、シャーシやケースとして使用されています。
また、溶接性が良いことも特徴ですが、TIG溶接やレーザー溶接の溶接性は良好ですが、スポット溶接は抵抗値が低すぎるためスポット溶接には不向きです。
A1050 のアルマイト処理について
A1050 は純アルミになるので、酸化し変色してしまいます。一度酸化してしまえば、一般的な環境下では侵食することはないので安定しますが、自然に酸化してしまうと美観を損なってしまいます。そこで、人工的に酸化させて美観上綺麗にするのがアルマイトです。
アルマイト(陽極酸化処理)とは、アルミニウムを陽極(+極)で電解処理して
人工的に酸化皮膜(アルミの酸化物)を生成させる表面処理のことですアルミニウムは酸素と結びつきやすく、空気に触れていると非常に薄い酸化皮膜を作ります。
この自然に作られる皮膜で保護されているので一般的に錆びにくい、いわゆる耐食性が良いといわれています。
しかし、この皮膜は非常に薄いので、環境によっては化学反応で腐食してしまいます。そのため表面を保護する表面処理、すなわちアルマイトが必要となります。
引用元:http://www.kashima-coat.com/aluminum/anodized-aluminum.html
また、アルマイト処理を行う際に着色できることもアルミニウムの特徴で、アルミニウム純度が高いほど、光沢がでるのですが、A1050 だとこのような見た目になります。
A1050 は、研磨をかけても、鏡面にはならずに、このように少しマッドな仕上がりになるようです。
A1050 の成分・特性一覧
化学成分(JIS H 4000:2014)
Si | Fe | Cu | Mn | Mg | Cr | Zn | Ga, V, Ni, B, Zrなど | Ti | その他 | Al | |
個々 | 合計 | ||||||||||
0.25以下 | 0.40以下 | 0.05以下 | 0.05以下 | 0.05以下 | – | 0.05以下 | V:0.05以下 | 0.03以下 | 0.03以下 | – | 99.50以上 |
板厚
A1050 は純アルミの中では最も多種多様に使用されているため流通性がよく、板厚も豊富なことも特徴です。下記は、確認できている板厚です。商社によっても取り扱い材料は違いますので、参考までに。
板厚 | t0.1, t0.2, t0.25, t0.3, t0.4, t0.5, t0.6, t0.8, t1.0, t1.2, t1.5, t1.6, t2.0 |