C1720 (ベリリウム銅) の概要と成分について
C1720 (ベリリウム銅) は銅にベリリウムを添加した銅合金で、導電性、成形性等に優れた特性を持つ合金で、加工後に熱処理を行うことで、高強度になるため、接点やスイッチとして使用されることが多く、またリン青銅よりも材料費は上がりますが、高強度な分、小型化が可能となりトータルの材料費は抑えて量産することも可能です。
JIS規格より、バネ用ベリリウム銅(C1720)は耐食性が良く、時効硬化処理前は展延性に富み、時効硬化処理後は、耐疲労性および導電性が増加します。ミルハードン材を除き、時効効果処理は成形加工後に行います。
製造メイカー:日本ガイシ株式会社
目次
規格にはあるのに、実は流通しているのは、ほぼ1種類
規格にはあるので、入手可能なのかと思ってしまいますが、C1720の薄板では流通しているのは1/4Hがほとんどです。1/2Hはちらほらと見受けられますが、それ以外は特注で作られた材料はあるのですが、市場に出回っているということでは、C1720 1/4Hがほとんどと、1/2Hが少々ではないでしょうか。
C1720 と C1700の違いとは?
C1700と比べると、Be(ベリリウム)の含有量がC1720の方が多く、時効硬化処理後に Beの含有量の多いC1720のほうが引張強や硬度で高くなります。
ただ、シート材ではC1700は、流通性が悪く、ほとんどの新規部品はC1720を使用されています。
C1720 の成分・特性一覧
化学成分(%)
Be | Co+Ni | Co+Ni+Fe | Cu+Be+Co+Ni+Fe |
1.8〜2.0 | 0.2以上 | 0.6以下 | 99.5以上 |
物理的性質
比重 | 熱膨張係数 (0~300℃)10-6/K | 熱伝導度 W/(m・K) | 導電率 %IACS | 比熱 J/(kg・K) | 縦弾性係数 Gpa |
---|---|---|---|---|---|
8.28 | 17.8 | 83.7〜130 | 15〜17 | 419 | 127 |
機械的性質
調質 | 引張強さ(MPa) | 伸び(%) | 硬さ(HV) |
---|---|---|---|
O | 470〜540 | 35以上 | 90〜160 |
1/4H | 510〜620 | 10以上 | 145〜220 |
1/2H | 590〜695 | 5以上 | 180〜240 |
H | 685〜835 | 2以上 | 210〜270 |
曲げ成形性
調質 | 曲げ試験(圧延方向) [内曲げR] | 曲げ試験(直角方向) [内曲げR] |
---|---|---|
O | 0 | 0 |
1/4H | 厚さの1倍 | 厚さの2倍 |
1/2H | 厚さの2倍 | 厚さの3倍 |
H | 厚さの2倍 | 厚さの6倍 |
C1720 の流通している板厚とサイズ
1/4H |
---|
t0.1 x 200 x 1000 |
t0.15 x 200 x 1000 |
t0.2 x 200 x 1000 |
t0.25 x 200 x 1000 |
t0.3 x 200 x 1000 |
t0.35 x 200 x 1000 |
t0.4 x 200 x 1000 |
t0.5 x 200 x 1000 |
t0.6 x 200 x 1000 |
t0.7 x 200 x 1000 |
t0.8 x 200 x 1000 |