A2017 (ジュラルミン)の概要と成分について

A2017 (ジュラルミン)の概要と成分について

A2017 は高価なスーツケースやアタッシュケースで良く知られているジュラルミンの1種です。熱処理合金で強度が高く、切削加工性が良いことが特徴で、航空機材、各種構造材などで使用されます。また、A2017とA2017Aとがあり、A2017Aの方が強度が高いようです。

製造メイカー:日本軽金属株式会社、など

板厚について

調べたところ一般的にはt0.5〜を在庫していることころが多いようです。商社によっても取り扱いが変わるので、t0.5よりも薄い材料を持っているところもあるかとは思いますが、ざっと調べたところ、下記の板厚(t2.0までを記載)が流通しているようです。

板厚 t0.5、t0.6、t0.8、t1.0、t1.2、t1.5、t2.0

A2017のアルマイト処理

A2017 一度酸化してしまえば、一般的な環境下では侵食することはないので安定しますが、自然に酸化してしまうと美観を損なってしまいます。そこで、人工的に酸化させて美観上綺麗にするのがアルマイトです。

アルマイトをされている業者を見ているとA2017は、A1050A5052に比べるとアルマイト性は良くないようです。[1]

アルマイト(陽極酸化処理)とは、アルミニウムを陽極(+極)で電解処理して
人工的に酸化皮膜(アルミの酸化物)を生成させる表面処理のことです

アルミニウムは酸素と結びつきやすく、空気に触れていると非常に薄い酸化皮膜を作ります。
この自然に作られる皮膜で保護されているので一般的に錆びにくい、いわゆる耐食性が良いといわれています。
しかし、この皮膜は非常に薄いので、環境によっては化学反応で腐食してしまいます。そのため表面を保護する表面処理、すなわちアルマイトが必要となります。

http://www.kashima-coat.com/aluminum/anodized-aluminum.html

A2017 の成分・特性一覧

化学成分(JIS H 4000:2014)

Si 0.20〜0.8
Fe 0.7以下
Cu 3.5〜4.5
Mn 0.40〜1.0
Mg 0.40〜0.8
Cr 0.10以下
Zn 0.25以下
Ti 0.15以下
その他(個々)
(合計は、0.15以下)
0.05以下
Al 残部
Si 0.20〜0.8
Fe 0.7以下
Cu 3.5〜4.5
Mn 0.40〜1.0
Mg 0.40〜1.0
Cr 0.10以下
Zn 0.25以下
Zr + Ti 0.25以下
その他(個々)
(合計は、0.15以下)
0.05以下
Al 残部

機械的性質

調質厚さ内側半径
H112
O0.2以上 0.8以下
0.8を超え 2.9以下
2.9を超え 6.0以下
密着
厚さの0.5倍
厚さの1倍
H12 H22 H320.2以上 0.8以下
0.8を超え 2.9以下
2.9を超え 6.0以下
厚さの0.5倍
厚さの1倍
厚さの1.5倍
H14 H240.2以上 0.8以下
0.8を超え 2.9以下
2.9を超え 6.0以下
厚さの1倍
厚さの1.5倍
厚さの2倍 
H16 H26 H360.2以上 0.8以下
0.8を超え 1.3以下
1.3を超え 4.0以下
厚さの2倍
厚さの2.5倍
厚さの3倍 
H18 H38
H19 H39

板厚公差

板厚 幅450以下幅450を超え 900以下幅900を超え 1200以下
0.20以下±0.03±0.03±0.05
0.20を超え 0.25以下
±0.03
±0.04
±0.05
0.25を超え 0.45以下±0.04±0.04±0.05
0.45を超え 0.70以下±0.04±0.05±0.06
0.70を超え 0.90以下±0.05±0.05±0.06
0.90を超え 1.1以下±0.05±0.06±0.08
1.1を超え 1.7以下±0.06±0.08±0.10
1.7を超え 1.9以下±0.06±0.08±0.10
1.9を超え 2.4以下±0.08±0.08±0.10

photo by topquark22