C1220 (リン脱酸銅)の概要と成分について
C1220 は、リン脱酸銅と呼ばれ、無酸素銅、タフピッチ銅と共に、銅の割合が99.9%以上の純銅の一つです。この純銅の中でもリン脱酸銅は、絞り加工性、溶接性、耐食性、熱伝導性がよく、また銅に添加されたリンによって脱酸されることにより、還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素脆化を起こすおそれがない材料です。
主な製造メイカー:三菱伸銅株式会社、三井住友金属鉱山伸銅株式会社、古河電気工業株式会社、三谷伸銅株式会社
C1201とC1220について
JIS規格にはリン脱酸銅としてはC1201とC1220とがあります。この2つの違いは材料成分としてはリン添加量の違いになります。
残留りん量によって高りん脱酸銅と低りん脱酸銅にわけられ、前者は、水素ぜい化の心配はないですが、導電性が低下し、後者は、導電性の低下は少ないですが、条件によっては水素ぜい化のおそれもありあます。[1]
C1220 の成分・特性一覧
化学成分
Cu | P |
99.90以上 | 0.015 〜 0.040 |
機械的性質
引張試験
製品記号 | C1220 P C1220 PS C1220 R C1220 RS |
||
---|---|---|---|
板厚 | 0.10 以上 0.15 未満 |
0.15 以上 0.30 未満 |
0.30 以上 30 以下 (R, RSは3.0以下) |
引張強さ N/mm2 |
195以上 | ||
伸び % | 20 以上 | 30 以上 | 35 以上 |
曲げ試験
製品記号 | C1220 P, C1220 PS C1220 R, C1220 RS |
---|---|
板厚 | 2.0 以下 |
曲げ角度 | 180° |
内側半径 | 密着 |
硬さ試験
製品記号 | C1220 P, C1220 PS C1220 R, C1220 RS |
---|---|
板厚 | − |
硬さ HV | − |
引張試験
製品記号 | C1220 P C1220 PS C1220 R C1220 RS |
||
---|---|---|---|
板厚 | 0.10 以上 0.15 未満 |
0.15 以上 0.30 未満 |
0.30 以上 30 以下 (R, RSは3.0以下) |
引張強さ N/mm2 |
215 〜 285 | 215 〜 275 | |
伸び % | 15 以上 | 20 以上 | 25 以上 |
曲げ試験
製品記号 | C1220 P, C1220 PS C1220 R, C1220 RS |
---|---|
板厚 | 2.0 以下 |
曲げ角度 | 180° |
内側半径 | 板厚の0.5倍 |
硬さ試験
製品記号 | C1220 P, C1220 PS C1220 R, C1220 RS |
---|---|
板厚 | 0.3 以上 |
硬さ HV | 55 〜 100 |
引張試験
製品記号 | C1220 P C1220 PS C1220 R C1220 RS |
||
---|---|---|---|
板厚 | 0.10 以上 0.15 未満 |
0.15 以上 0.30 未満 |
0.30 以上 30 以下 (R, RSは3.0以下) |
引張強さ N/mm2 |
235 〜 315 | 245 〜 315 | |
伸び % | − | 10 以上 | 15 以上 |
曲げ試験
製品記号 | C1220 P, C1220 PS C1220 R, C1220 RS |
---|---|
板厚 | 2.0 以下 |
曲げ角度 | 180° |
内側半径 | 板厚の1倍 |
硬さ試験
製品記号 | C1220 P, C1220 PS C1220 R, C1220 RS |
---|---|
板厚 | 0.2 以上 |
硬さ HV | 75 〜 120 |
引張試験
製品記号 | C1220 P C1220 PS C1220 R C1220 RS |
---|---|
板厚 | 0.10 以上 10 以下 (R, RSは3.0以下) |
引張強さ N/mm2 |
275 以上 |
伸び % | − |
曲げ試験
製品記号 | C1220 P, C1220 PS C1220 R, C1220 RS |
---|---|
板厚 | 2.0 以下 |
曲げ角度 | 180° |
内側半径 | 板厚の1.5倍 |
硬さ試験
製品記号 | C1220 P, C1220 PS C1220 R, C1220 RS |
---|---|
板厚 | 0.2 以上 |
硬さ HV | 80 以上 |
物理的性質
比重 | 8.94 |
熱膨張係数 (20〜300℃)10-6/K |
17.7 |
熱伝導度 (20℃)W/(m・K) |
339 |
体積抵抗率 μΩ・m |
0.0203 |
導電率 %IACS |
85 |
縦弾性係数 Gpa |
118 |
(メーカーより)
(リン脱酸銅の平均値)
板厚
板厚は調べれただけ板厚になりますので、商社や問屋によっても取り扱ってる板厚は変わります。
表で常にある在庫としては無かったのですが、t0.06などのt0.1未満のC1020もあるようです。
板厚 | t0.2, t0.25, t0.3, t0.4, t0.5, t0.6, t0.7, t0.8, t1.0, t1.2, t1.5, t1.6, t2.0 |
※t2.0以下のみ
板厚公差
厚さ | 400 以下 | 400を超え 700 以下 |
700を超え 1000 以下 |
1000を超え 1250 以下 |
---|---|---|---|---|
0.10以上 0.15以下 |
±0.02 | - | - | - |
0.15を超え 0.25以下 |
±0.02 | ±0.03 | - | - |
0.25を超え 0.35以下 |
±0.03 | ±0.04 | ±0.06 | - |
0.35を超え 0.50以下 |
±0.04 | ±0.05 | ±0.07 | ±0.15 |
0.50を超え 0.80以下 |
±0.04 | ±0.06 | ±0.08 | ±0.16 |
0.80を超え 1.2以下 |
±0.05 | ±0.08 | ±0.10 | ±0.18 |
1.2を超え 2.0以下 |
±0.06 | ±0.10 | ±0.12 | ±0.22 |
(JIS H 3100)
厚さ | 1250を超え 1500以下 |
1500を超え 1750以下 |
1750を超え 2000以下 |
0.10以上 0.15以下 |
- | - | - |
0.15を超え 0.25以下 |
- | - | - |
0.25を超え 0.35以下 |
- | - | - |
0.35を超え 0.50以下 |
- | - | - |
0.50を超え 0.80以下 |
- | - | - |
0.80を超え 1.2以下 |
±0.28 | ±0.35 | - |
1.2を超え 2.0以下 |
±0.33 | ±0.40 | ±0.50 |
(JIS H 3100)
-
前の記事
C7521 (洋白)の概要と成分について
-
次の記事
KFC (鉄・りん入り銅)の概要と成分について