C5210 (バネ用リン青銅) の概要と成分について
C5210 (バネ用リン青銅) は、圧延後に熱処理を施してある青銅で、C5191よりも硬度が若干高く、接点バネとして、よく使われる材料になります。
また、接点としてはベリリウム銅が機能性は高いですが、材料費が安価なこともあり主に使用されています。リン青銅よりもバネ性を必要とする場合、導電性は落ちますが、ベリリウム銅よりも材料費が安価なことからSUS304のバネ材にニッケルメッキなどを施した接点バネが使われることがあります。
製造メーカー:JX金属
目次
C5210 と C5191 の違いについて
C5210とC5191はバネ用リン青銅に属しますが、C5210は低温焼き鈍しと言う熱処理を行い、材料の製造時からの残留応力を除去した材料になります。この処理により、いわば癖が少ない均一性のとれた材料になります。
末尾のPとRの違いについて
また、C5210の後ろにPかRと記載してある場合がありますが、これは板材かコイル材かを記しています。板材は巻きグセを取った状態になっていますが、コイル材は巻きグセがありますので、製品によっては先に癖を取ってから加工する必要があります。
PBPは、C5210 と同じ?
旧JIS規格の品番で、リン青銅(C5191)をPBPと記してある場合がありますが、C5210は「PBSP」です。手書きの古い図面などは、たまに「バネ用PBP」と記載されていたりしますが、これはリン青銅は英語で「Phosphor Bronze」で、それに板材「Plate」の頭文字を取ってPBPと記載しているようです。
C5210 の成分・特性一覧
化学成分
Sn | 7.0〜9.0 |
P | 0.03〜0.35 |
Pb | 0.02以下 |
Fe | 0.10以下 |
Zn | 0.20以下 |
Cu | 残り |
物理的性質
比重 | 8.8 |
熱膨張係数 (0~100℃)10-6/K | 18.2 |
熱伝導度 W/(m・K) | 63 |
導電率 %IACS | 12 |
体積抵抗率 μΩ・m | 0.144 |
比熱 J/(kg・K) | 377 |
縦弾性係数 Gpa | 110 |
機械的性質
調質 | 引張強さ MPa | 伸び % | 硬さ HV | ばね限界値 Mpa |
1/2H | 470〜610 | 27以上 | 140〜205 | 245以上 |
H | 590〜705 | 20以上 | 185〜235 | 390以上 |
EH | 685〜785 | 11以上 | 210〜260 | 460以上 |
SH | 735〜835 | 9以上 | 230〜270 | 510以上 |
ESH | 770〜885 | 5以上 | 245〜285 | 560以上 |
C5210 の流通している板厚とサイズ
t0.1 x 180 x 1200 |
t0.15 x 180 x 1200 |
t0.2 x 180 x 1200 |
t0.25 x 180 x 1200 |
t0.3 x 180 x 1200 |
t0.35 x 180 x 1200 |
t0.4 x 180 x 1200 |
t0.5 x 180 x 1200 |
t0.6 x 180 x 1200 |
t0.7 x 180 x 1200 |
t0.8 x 180 x 1200 |
t1.0 x 180 x 1200 |
t1.2 x 180 x 1200 |
t1.5 x 180 x 1200 |
t1.6 x 180 x 1200 |
t2.0 x 180 x 1200 |