SUS631 の概要と成分について

SUS631 の概要と成分について

18-8ステンレス(SUS304)の優れた性能を保持しながら、熱処理によって硬度を高めることができる析出硬化型の最も代表的な鋼種です。固溶化熱処理状態の最も軟らかいものから強圧延仕上げの硬いものまでありますが、薄板は冷間圧延したものしかないため、ここでは冷間圧延加工したものについてご紹介します。

析出硬化型のステンレスであるSUS631は、高炭素マルテンサイト系の焼入材に次ぐ強度のものを得ることができます。また、析出硬化処理後はかなり強い磁性を示すようになります。

SUS631 の成分と特性

化学成分

C 0.09 以下
Si 1.00 以下
Mn 1.00 以下
P 0.040 以下
S 0.030 以下
Ni 6.50~ 7.75
Cr 16.00~ 18.00
Cu
その他 Al 0.75~ 1.50

(単位:%)

機械的性質

熱処理 耐力
N/mm2
引張 強さ
N/mm2
伸び
S 380以下 1030以下 20以上  
RH950 1030以上 1230以上 t3.0以下
      t3.0 超え 4以上
TH1050 960以上 1140以上 t3.0以下 3以上
      t3.0 超え 5以上
熱処理 硬さ(2
  HBW HRC HRBS 又は NRBW HV
S 192以下 92以下 200以下
RH950 40以上 392以上
TH1050 35以上 345以上

注(2) 硬さはいずれか一種類を適用する。
備考1.HRBの測定値の報告書には、HRBS 又は HRBW を明記する。
備考2.1 N/mm2=1MPa

熱処理について

SUS630及び SUS631 の熱処理については,注文者は固溶化熱処理又は析出硬化処理のいずれかを指定する。この場合,表 2 による熱処理の種類の記号を付記する。

熱処理記号 

種類の記号 熱処理の種類 記号
SUS630 固溶化熱処理 S

析出硬化処理 H900,H1025,H1075,H1150
SUS631 固溶化熱処理 S

析出硬化処理 RH950,TH1050

板厚

3/4 Ht0.1, t0.15, t0.2, t0.3, t0.4, t0.5, t0.6, t0.8, t1.0, t1.2, t1.5