KFC (鉄・りん入り銅)の概要と成分について
KFC は、神戸製鋼が開発した錫入り銅より耐熱性に優れる銅合金で、銅に微量の鉄、燐を添加して、マトリックス中にFe2Pの微細な化合物を形成させた析出強化型の銅合金です。
一般に、強度と導電率は相反する特性で、銅に添加元素を加えて高強度化すると、導電率は低くなり、また、これまでの高強度合金では、合金中の粗大な晶出物生成や、めっき前処理でのスマット発生などの問題がありましたが、それらを改善した銅合金でもあります。
用途としては、トランジスタ用リードフレーム、LED用リードフレーム、IGBT用ヒートシンク、ヒートスプレッダ、BGA用放熱板、放熱用内部フレームなどで使用されているようです。
特徴
- 導電率は92%IACS(保証値は85%IACS以上)と優れており、熱伝導率も優れ るので、放熱効果にも優れています。
- C1020やC1100などの純銅より高強度を実現しています。
- パッケージ用樹脂との熱膨張係数の差が少なく、樹脂との密着性は良好です。
- はんだ濡れ性およびめっき性が良好です。
- 軟化開始温度が400℃以上で、純銅および錫入り銅より耐熱性が優れています。
- 耐応力腐食割れ性に優れています。
- 水素ぜい化の心配がありません。
- 結晶粒の大きさは10μm以下と細かく、強化は微細な鉄のリン化物の均一な析出物によります。
KFC の成分・特性一覧
化学成分
Cu | 99.6以上 |
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Fe | 0.1 |
P | 0.034 |
物理的性質
比重 | 8.9 |
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線膨張係数 (293~573K) | 17.5×10-6/K |
熱伝導率 (293K) | 364 W/m・K |
体積抵抗率 (293K) | 18.2 nΩ・m |
導電率 (293K) | 90 %IACS |
縦弾性係数 (293K) | 125 GPa |
機械的性質
質別 | 引張強さ MPa | 伸び % | 硬さ MHv: 4.9N |
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O | 275~345 | 30以上 | - |
1/4H | 295~370 | 15以上 | 85~110 |
1/2H | 350~430 | 4以上 | 100~130 |
H | 390~470 | 2以上 | 120~145 |
曲げ加工性 90°V曲げ(R/t)
質別 | Good Way | Bad Way |
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1/2H | 0 | 0 |
H | 0 | 0 |