ベーナイト鋼(NBS60・BT60)

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ベーナイト鋼は、需要家毎の要求に応じた硬さに熱処理を施していることから、
打抜きや成形加工だけで部品やバネ製品を製造することができます。
成形加工後の所望の硬さを得ることを目的とした熱処理(焼入焼戻やオーステンバー)が省略できることから、熱処理変形に伴う手直し工程の省略及び歩留向上につながり、生産コストの低減に寄与します。

製造メーカー:日鉄日新製鋼 株式会社日本金属 株式会社

ベーナイト鋼のベーナイトとは、金属組織の名称のことで、帯鋼に特殊な熱処理を施した材料になります。また、英語表記ではBainiteと表記され、ベイナイトと表記されたりもしています。

特徴

  • 高強度(最大Hv440程度)
  • 焼入れリボン鋼に比べて靭性に優れている
  • 加工性に優れている
  • 加工後の焼入れ処理が不要

リボン鋼との違いは?

ベーナイト鋼もリボン鋼も両方とも、板バネとして使用されることが多いのですが、板バネとして使用する場合には硬度の違いがあります。

現場を見ていると、リボン鋼が多く使われている気がしますが、リボン鋼は硬度がHRC48ほどあり、通常の曲げ加工を行うと割れてしまうため、平板バネか鈍し材の状態で曲げ加工し、成形後に熱処理を行うのが殆どです。

ただ、この方法だと熱処理により変形するので、精度は狙えません。
ベーナイト鋼の場合は、高強度ではありますが、SUS301ほどなので、熱処理された状態で曲げ加工が可能となり、精度なども狙いやすくなります。

ベーナイト鋼 の表記について

規格としては、下記以外にもあるのですが、メインに流通しているのは、BT60とNBS60なので、この2種類の規格を記載しています。
BT60は日本金属製で、NBS60は日新製鋼の製品になります。

JIS鋼種類記号

NBS60、BT60S60C-CSP-B

仕上げ

仕上区分記号(NBS60)摘要
標準仕上N特殊熱処理のままのもの
白仕上V特殊熱処理後、無酸化処理したもの
青仕上B特殊熱処理、無酸化処理後、ブルーイング処理したもの

硬度(NBS60)

記号硬度
1HV320 ±20
2HV360 ±20
3HV400 ±20
4HV440 ±20
SHV270~460の範囲で上記以外の値を中心値としてこれに±20をたしたもの